
床矯正について当院の考え
当院では、いわゆる矯正治療とはちょっと違う「床矯正(SH療法)」という治療を行います。
(詳しくはWebサイト(http://shta.jp)を参考にしてください。)
SH療法では
ドイツ・日本で特許を取得したSlideXという弾性バネを使った新しい顎拡大装置を使用します。対象になるのは劣成長の顎骨です。
生活習慣や食生活の変化から、長い年月とともに日本人の骨格が変化してきたことは、皆さんも理解していただけると思います。SH療法は顎骨のマイナス成長を、本来であればそこまで成長したであろう(プラスマイナスゼロ)ところまで、この装置により拡大する手法です。これは、正常な環境を再現することが目的です。
よい環境を与えれば、人は自然治癒能力により、元々なりたかった状態になっていくものです。治療の過程でスペースができ、叢生などの審美問題も解決方向に向かいます。
SH療法は、単なる顎拡大、歯並びの改善を目指しているのではありません。したがって、歯並びの悪いすべての人が治療の適応者と考えていません。
SH療法はヘルスプロモーションの理念に基づいています。
すなわち、これらの変化は生体を健康へと導くものです。
SlideX を使用した顎拡大装置
審美的な問題で矯正を望まれる方が多いと思いますが、大切なことは歯並び・かみ合わせが全身に影響を与えることです。顎の拡大により治療・予防ができる疾患にOSAS(睡眠時無呼吸症)や顎関節症があります。
健康を思えば、やはり歯は抜いてはいけませんよね。私たち歯科医は、歯の寿命を延ばすのが仕事なのですから。
噛むことは学習です。
生まれた直後からお乳を吸うのは反射運動で、練習の必要はありません。噛むことは、離乳期に離乳食を体験することで必ず一定の順序で発育します。顔の表情・言葉の発育とも深い関係があります。できるだけ小さい時(お母さんのお腹の中)から患者さんに関わり、できれば矯正が必要でない環境づくりをめざしたいと思います。
それができなかった時には、SH療法が有効です。
本来スペースがあれば、歯は自然に並ぶものです。歯を並ばせるのでなく、よい環境を作るお手伝いをしたいと思います。納得されたら治療を始めましょう。でも、審美が第一と考える方は、矯正専門医の受診をお勧めいたします。
矯正料金について
基本料金 | 396,000円 |
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レントゲン撮影 | 4,400円 |
管理費 | 1,980円/月 |
装置製作費 | 35,200円 |
修理 | 11,000円 |
※ 成長に合わない装置の使用は、治療時間の延長につながります。
※ 作り変えの回数は症状により、異なります。
※ 修理で対応できる物は、できるだけ対応させて頂きます。
小児矯正(床矯正)の実例
【1】出っ歯(上顎前突)
顎の形がV字形からU字形に変化していきます。 これは、歯に力をかけているのではなく、歯の生えている土台が変わってきています。 重なっていた下の前歯もきれいに並びました。患者さんの審美的な主訴は改善されました。 しかしSH療法においては、下顎の後退は正常な環境とはいえず、現在は顎の前後的な位置の修正を継続しています。
【2】受け口(反対咬合)
ケース1
初診時、上の歯は台形に並んでいます。下の前歯におさえられて上顎の成長が抑制されているからです。 半年後上顎の前歯が前にでました。装置をはずして数年経過した現在も、問題ありません。
ケース2
装置を入れてから、約1年半で終了しています。
【3】乱ぐい歯・八重歯(叢生)
ケース1
顎が小さいため、歯が並ぶだけのスペースがありません。 このようなケースには、審美の問題よりも重要な問題があります。 重度なものは舌が収まりきれず後方に下がるため、 無呼吸症候群(大人だけではありません)、顎関節症の原因にもなる可能性があります。
ケース2
顎が小さいため、歯が並ぶだけのスペースがありません。 このようなケースには、審美の問題よりも重要な問題があります。 重度なものは舌が収まりきれず後方に下がるため、 無呼吸症候群(大人だけではありません)、顎関節症の原因にもなる可能性があります。
【4】
顎が小さいため、後から出てくる永久歯が入るスペースがありません。 最初に右側のスペースを作りました。スペースができてくると、自然に歯が出てきました。反対側も同じです。
【5】顎ずれ(交叉咬合)
右側のかみ合わせが交叉しています。 そのため顔は対称的でなく、ゆがんでいます。 これは下顎に比べ、上顎の発育が悪かったことが原因です。 顎を拡大することで、ズレて噛むこともなくなりました。 早期に異常を発見できたため、小さな介入で治療が終了できました。
【6】萌出方向異常
初診時、前歯は小帯を傷つけていました。小帯は出血し腫れており、口をきちんと閉じることができませんでした。 顎を拡大しながら、歯を下に誘導しました。歯が下に下がることで、小帯の傷も自然治癒しました。現在も治療継続中です。