韓国人の友人がドイツから帰国し

院長の長谷川です。

韓国人の友人がドイツから帰国し、それに合わせて韓国で会うことになった。韓国は久しぶりの訪問だ。友人は人生の半分以上をドイツで過ごしている。半年に一度くらいのペースで帰国するようだが、やはり食事を堪能するのが楽しみという事で、今回それにお付き合いすることになった。

彼女から提案されたプランは、「おいしくて素敵な旅1弾」という美味しい物を食べつくすというバスツアーだった。ソウル駅午前7時発の集合時間に間に合うように、通常通りに仕事をして、午前2時羽田発の便に搭乗。この時間に東京の夜景を空から見るのもなかなかいい。2時間半ほどのフライトで仁川空港に到着。タクシーでソウルに向かい、予定通りバスツアーに参加した。日本の「はとバス」と思ったらいい。

参加者は25人ほど。平日のツアーのため、おそらく70代くらいのおばさま方にリタイアしたと思われるおじさまが4人ほど。もちろん日本人は私一人。ゆったりとしたシート。睡眠不足の私はひたすら寝る。

まずはチャンフン(長興)に向かう。朝食は温かいおもち。日本のお餅は"もち米"を使っているので、加熱するとビヨーンと伸びるが、韓国では"うるち米"を使っているため、モチッとした食感で伸びない。小豆の自然な甘さがよい。

昼食はチャンフンの特産物である牛肉とシイタケを鉄板の上で焼きながら食べた。サンチュもお肉もキムチもetcすべておかわり無料とのことで、お腹いっぱい食べた。初対面の韓国人とお皿に盛られた食事をシェアする。みんな楽しそうにお話ししながら食べている。同じ釜の飯を食べ、私も仲間入り?

食事が終わると長興扁桃の森ウッドランドをひたすら散策。汗ばむ私たちの前をなんてことないという顔でおばさまたちが進んでいく。ふと、以前TVで知った韓国人の趣味を思い出した。なんと一番は登山だった。

夜は国会議長賞を受賞したという食事。こちらも美味しくいただく。そして疲れがたまっている私は足がつれるのではないかと心配しながらも、睡魔に負け早々に就寝。

翌日の朝食は焼き魚定食。煮干しのだしがきいたお味噌汁に焼き魚。これも美味しい。でももうお腹がいっぱい。そして気づくと食事の席に最後に残っているのは、いつも私と友人だ。朝食後またも海岸線をひたすら歩く。

昼食はウナギ。この時、私の胃袋は悲鳴を上げていた。食べて詰まっていくばかりで、ウナギを見ても全く食欲がわかない。何とか一口を口に運び箸をおいた。脂がジワ~と口の中に広がった。食べられない!私の様子に気づいた向かいの韓国人の奥様が「太田胃散」をくださった。つい最近北海道旅行を楽しんだそうで、お土産に「太田胃散」を購入したとのこと。私の人生初の「太田胃散」は韓国で服薬することになった。

日本の薬は評判がとても良い。台湾の友人たちも来日すると驚くほど購入していく。そしてその効果を私も韓国で実感することとなった。

ソウルに向かうにつれて体調も回復。すっかり元気になり、バスツアーも終了した。私は元気なおばさま方の口の中が気になって仕方がない。一人一人どんな口腔内なのか見てみたい!できたら写真も撮らせてほしい。友人が、みんなに頼んであげるから全員の口の中を見せてもらいなよと言ったが、恥ずかしくてできない。食べている時、しゃべっている時、そっと観察してみる。きれいに並び摩耗した前歯が確認できる。韓国のおばさま方は、本当に元気。韓国ではキムチだけでも数種類のものが出る。水キムチ、ネギキムチ、大根キムチ…葉物はよく噛まないといけない。→グラインディング咀嚼。お肉もよく食べる。油の多いお肉もウナギもエゴマの葉に巻いてひたすら食べている。私は惨敗。とても太刀打ちできない。本当によく食べ、よく歩き、よくしゃべる。たくさん食べたであろうそのあとに、バスの中でパプリカをまるかじり→前歯でかじりとる。これには驚いた。美味しい物をバランスよく、よく噛んで食べることは、健康の基本だ。口腔機能低下症のアウトカムは低栄養。やはり食べられるということはすごいことだと改めて感じた。

電車の中でも観察が続く。車中ではみんな携帯とにらめっこ。ここまでは日本と同じなのだが、みんな口を閉じている。老若男女問わず。日本では「お口ぽかん」なのに。→口唇閉鎖、鼻呼吸

来院する多くの患者さんが該当する「口腔機能低下症」、「口腔機能発達不全症」韓国では、まだまだ遠い未来なのか。まずは来院する患者さんの口を鍛えなおさねば!