つかの間の幸せ時間
昨年の10月初め、自宅に月下美人がやってきた。ひょんなことから患者Sさんから月下美人をいただくことになった。自宅に届けてくださると言ったので申し訳ないと思いながらも、Sさんを自宅で待っていた。それは想像していたものをはるかに超えた、大きくて重い月下美人の鉢だった。私一人の力ではとても持ち上げられない。届いた月下美人の1輪が丁度咲いていて、あたりに何とも言えない香りが漂っていた。Sさんは開花した月下美人を私に見せたくて、この日に届けてくれたことを後から知った。
でも私には全く月下美人の知識がなく、知っていることはサボテン科であり一夜花という事だけ。サボテンは何年もお世話しているので、何とかなるだろうと思ったけれど、そのサボテンに特別なことは何もしていない。サボテンが私のベランダの環境を気に入っただけのことである。いただいたのはいいけれど、Sさんが今まで大切に育てた月下美人を引き継ぐのだからという責任が重くのしかかった。ネットで育て方を検索しながら、春になるまで部屋の中で越冬させ、4月末に屋外に出してみた。
そして昨晩、月下美人の花が咲いた。妖艶な花である。感激。早速、友人や兄弟に写真を送る。
月下美人とはよく言ったものだ。透けるように白くて美しい花を女性に例え名付けられた花である。その美しさが写真では伝わらない。やはり肉眼でみるのが一番に違いない。月下美人の花言葉は、「ただ1度だけ会いたくて」「儚い美」「儚い恋」「艶やかな美人」だそう。これらは夜にかけて花を咲かせる一方で翌朝にはしぼむ様子に由来しているとのこと。妙に納得してしまう。
月下美人は、手入れがよければ年に2-3回咲くらしいが、全く咲かないこともあるらしい。育ての親になり、1輪咲いただけでもLuckyである。お給料計算、レセプトが終わり、月初めのストレスから解放されたその日に開花するなんて、君は本当にやさしい子!でも1夜花だから朝にはすっかりしぼんでいました。このまま枯れていくのを見るのも忍びなく、しぼんだ花を焼酎につけて保存することにしました。またこれから咲いてくれるかな…私のつかの間の幸せ時間でした。