訪問口腔ケアを通して思うこと

歯科衛生士の古田喜代子です。訪問口腔ケアを担当しています。

長谷川院長の理念と夢に、自分自身の訪問への思いを重ねあわせながらとても楽しく仕事をさせていただいています。患者さんへのライフステージ毎の適切な関わりを考えた時に、もし何らかの理由で診療所まで通院できない場合、こちらから訪問させていただくのはごく自然だと考えています。あくまでも依頼があってのことですが…。

訪問歯科診療も十分周知されているとは言い難い現状で、訪問口腔ケアの依頼に繋がることはまだ少ないと感じています。そのような中、訪問させていただいている患者さん・ご家族との出会いはとても貴重です。歯科的なケアと同時に生活に根ざした関わり方が求められていると感じています。歯周病やむし歯等の口腔内を見る目と口腔機能を見る目、全身的な状態を見る目、そしてご家族を含めた生活背景を考慮しながら進めていく口腔ケアはまだまだ学ぶことが多いと思いながら日々訪問させていただいています。

お別れした方も何人もいらっしゃいますが、お花を携えた院長に同行させてもらいます。ご家族の介護の労をねぎらいながら患者さんの思い出話を共有します。訪問させていただいたその出会いに感謝しつつ!

最期までお口から安全に美味しく食べていただきたいとの願いを込めて、その患者さんに必要なケアを提供できるためには多職種との連携がとても重要だと思います。

介護支援専門員の資格を最近取ってみて、よりその患者さんのQOLの向上に寄与できるためには歯科衛生士としても感性を磨いていくことが大切だなぁとつくづく感じています。

笑いの効用は最近いろいろと言われていますが、今年のお正月にはようやく念願かなって2日間の笑いヨガリーダー養成講座を受講することができました。20数名の受講生は実に職業も立場も様々でした。

3.11の被災地でのボランティアにもそれぞれのライセンスを活かしたお話をお聞きすることができました。「笑いヨガ」ってご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、誰でもできる笑いの健康体操で、「笑いの体操」と「ヨガの呼吸」を組み合わせたものです。訪問にも活用できたらいいなぁと思っています。

89歳の母と同年齢のIさん。訪問時間の半分は口腔ケア、そして半分(あるいは半分以上)は漫才のような会話のやり取り! 1カ月に一度の訪問を楽しみにしていてくださることは私自身の楽しみでもあります。

60歳代のNさん。要介護度5ですが、ご主人がご家族の協力や諸々のサービスを活用されて介護されていらっしゃいます。Nさんにとって何がべスト(ベターを超えている…)なのかを常々考えながらの介護ですが、散歩などでは表情がはっきりと変わるそうです。摂食嚥下機能の現状維持もご家族・ヘルパー・訪問看護師・リハビリ職・医師等の方々に加え、私たち歯科職がはたす役割は大きいと感じています。ご主人が介護とご自身のなさりたいこと、ライフワークといえる仕事をコツコツと続けられる姿には実に多くのことを学ばせていただいています。

訪問口腔ケアを通して思うこと
訪問の現場にいつまでたてるか分からないけれども、待っていてくださる方々に励まされながら、そして普段診療室にいないので、多くのことをスタッフの人たちに支えてもらいながら続けていければと思っています。

自分の夢に向かっても前進したいと思っています。