歯周病が影響を与える病気

歯科衛生士の土方です。

今回は、歯周病と全身疾患についてお話したいと思います。
皆さんは「フロス オア ダイ(フロスか死か)」という言葉を聞いたことがありますか?
全米で発信された言葉ですが、デンタルフロスやハブラシでのケアをしないと歯周病や全身疾患になり寿命を縮めて死んでしまうという意味です。
少し怖い表現ですが、歯周病は全身疾患に悪影響を与える恐ろしい病気なのです。
ここでは歯周病が影響を与える主な病気をお話します。

【 肺 炎 】
誤嚥することにより、歯周病菌が気管や肺に進入し気管支炎や肺炎を起こす危険性が指摘されています。
特に高齢者は物を飲み込む筋肉が衰えてくるので、唾液が誤って気管の方へ流れ込みやすいため注意が必要です。

【 心 臓 病 】
歯周病菌が血液から全身に回り動脈壁に付着すると、その周りに血小板が集まって小さな塊を作ることがあります。これが血管壁から剥がれて、心臓や脳の血管
に詰まり、心臓病を引き起こすことが指摘されています。また、心臓の弁に障害のある人や人工弁の人は、弁の周りに歯周病菌が入ると増殖しやすく危険です。
歯周病の人は約2倍も心臓病になりやすいといわれています。

【 糖 尿 病 】
身体の中では、歯周病菌の出す毒素に刺激されて様々な活性物質が産生されます。その中の「TNFα」という物質がインスリンの働きを阻害して糖尿病に悪影響を及ぼします。

【 血 管 障 害 】
血液中に入り込んだ歯周病菌が、血管壁に感染すると、血管は厚みを増して対抗しようとします。その結果、血管が固くなって動脈硬化を促進する原因になります。

【 早 産 】
歯周病菌の毒素によって作られる活性物質の「プロスタグランジン」という物質が体内で増加し、早産を引き起こします。中~重度の歯周病の女性は、低体重児を出産する危険性が約7倍高いという報告がなされています。

歯周病はなかなか自覚症状が現れず進行に気付きにくいです。定期的な検診が大切です。